忍者ブログ
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[03/15 団]
プロフィール
HN:
野卯ミカ
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
読書♪創作
自己紹介:
読むのも書くのも好きです。
【敬愛】敬称略
活字>>あさのあつこ/有川浩/京極夏彦/島本理生/西尾維新/よしもとばなな/他
漫画>>羽海野チカ/高尾滋/日高万里/他
バーコード
ブログ内検索
ブクログ
P R
アクセス解析
カウンター
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


田沼×夏目

シリアスに見せかけてギャグです。
痴話喧嘩が書きたかっただけwww
私は本当に多軌が好きなんだなぁ……
と、読み返していて思いました^^←
加筆修正有りです。

 ◇

 掴みきれない、きみを追いかける。





 

お に ご っ こ

 





「あ、田沼」
「おはよう」
「おはよう……えっと、じゃあまた」
 ぎこちなく微笑んで、夏目はすぐさま教室へ入ってしまった。
 ――またか。
 田沼は肩を落とし、小さく溜息をついた。
 どうも最近、夏目に避けられている気がするのだ。
「なんだかな……。うわっ!」
 頭をかいた田沼に、何か軽いものが勢い良くぶつかってきた。
 驚いて振り返ると、人懐こい瞳が田沼を映す。
「どうしたの?溜息なんかついて」
「多軌」
「夏目くんと何かあったの?」
 ――するどい。
 会うなり核心を衝かれ、田沼はぐっと言葉に詰まった。
 この女、まったくどんな目を持っているのだ。
「……別に、」
「夏目くんも、なんだか変だものね」
 否定した田沼そっちのけで多軌は納得し、窓の外へちらりと視線を投げる。
 グランドにちらほらと生徒が見え、その中に一際白く華奢な姿が見えた。
 見間違えるはずもない、田沼を悩ませている張本人だ。
「変……?」
「田沼くん、何かしたの?」
 怪訝そうな視線を投げる多軌に、田沼は溜息を返す。
「なにも」
 覚えがない。
 喧嘩なんてお互いの性格上めったにないし、嫌な顔をされた覚えすらないのだ。
 避けられる理由があるとすれば――、
「また、アヤカシ絡みか……」
 田沼がぼそり呟くと、多軌は目を瞬かせたあと、
「違うよ」
 きっぱりと否定した。
「多分……ううん、絶対田沼くん絡み」
 いやに確信のこもった口調で言うのだから、参ってしまう。
 うっかり嫉妬して誤解してしまったほど、夏目と多軌は仲が良いのだ。
 そして多軌は、恐ろしく勘が良い。
「なんでだ」
「アヤカシ絡みだと夏目くんは慣れっこだから、もっとごまかすのがうまいわよ。ただ、人間相手だとすっごく不器用になるのよ……特に田沼くんが絡むと、どうもね」
 再びグランドへ視線を投げて、多軌は苦笑した。
 どうすればいいのだろう。
 肩を落とした田沼を見て、多軌は軽やかに笑った。
「聞いてみればいいじゃない」
「聞くって」
「なぜ避けるのか」
「でもそれは……」
「夏目くんが言い出すまで待つの?それじゃ、半世紀くらいは覚悟しないとね」
「……確かに」
 多軌は楽しそうだが、田沼は本気で青ざめた。
 グランドに視線を投げると、夏目が楽しそうにサッカーをしている。
 ――ああ、遠いな。
 いつも以上に感じる距離感に溜息を落とし、田沼は力なく微笑んだ。
「ありがと。頑張ってみるよ」
「健闘を祈る」
 そこで図ったようにチャイムが鳴り、二人はそれぞれ教室へ戻った。


 放課後まで悶々と過ごし、やっとチャイムが鳴る。
 さっさと逃げられてしまっては堪らない。田沼はさっと鞄を掴むと、飛び出すように教室を出た。
 案の定、夏目はすでに昇降口で靴を履き替えている。
 また、田沼を避けるつもりなのだろうか。
「夏目!」
 田沼が呼びかけると、夏目はぎくっと肩を震わせて振り返ると、
「ごめん、今日は急いでるから」
 ぎこちなく微笑み、靴を履き替えると走り出した。
 避けた上に、逃げるなんて――。
 ショックのあまり固まりかけた田沼だが、なんとか持ち直して走り出す。
「は、はぁ……」
「……なんで逃げるんだ」
 体力がないのはお互いさまだが、ほんの少し田沼が勝っていた。
 やっとの思いで近くの森で捕まえると、なおも逃げ出そうとする夏目をぐっと引き寄せ、近くにあった木へ押し付けた。
「いっ」
「何で避けるんだ」
「痛い、田沼」
 身をよじって逃げ出そうとする夏目の腕をより強く掴み、引き寄せて問う。
「答えろよ。おれのこと、嫌いになったのか?」
「ちがっ、そんなんじゃ」
 夏目は呻くように言って、うつむいた。
「悪いのはおれなんだ。田沼は悪くない」
「なんで」
 しばらく沈黙が続き、田沼は辛抱強く待った。
 どれくらい経っただろう。
 やっとお互いの呼吸が落ち着いた頃、うつむいたままの夏目がやっと口を開く。
「……このままじゃ、離れられなくなりそうで。だって、おれは」
 この町にいつまでいられるか、わからない。
 藤原夫妻はいつだって優しくて、自分を本当の息子のように扱ってくれる。
 それでも、やっぱり自分はあの家の人間ではないのだ。
 ――ヨソモノ。
 そう言われて、何度突き放されただろう。最初は優しかった人たちも、ある日掌を返したように冷たくなる。そして幾日も経たないうちに、新しい家に預けられることになるのだ。
 あんなやさしい人たちを疑いたくない。本当は信じたい。
 けれど、幼い頃から根付いた猜疑心が硬く絡まり、ほどけてくれない。
「誰かに、依存してしまうのは」
「大丈夫だよ」
 田沼の言葉に、夏目ははっと顔を上げた。
「……え、」
「藤原夫妻はお前を手放したりしない」
「そんなの」
 わからないだろう、と呻いた夏目の唇を、田沼は強引に塞いだ。
 手首を掴んでいた手を片方放し、白い頬に触れる。小さな耳に触れ、細い髪に指を通す。耳の裏側をくすぐると、細い背中が小さく震えたのがわかった。
 ああ、こうして触れるのは何日ぶりだろう。
 久々に触れる感覚に胸が熱くなり、暴走しそうになったが理性を総動員して必死に御する。
「俺だって、手放さない」
 一度唇を離すと、田沼はきっぱりと言い放った。 
 やっとの思いで、触れることを許されたのだ。
 今更手放すなんて、できるはずがない。
 夏目の瞳がぱっと見開かれて、頬が染まる。
「ほんとかわいいな、夏目は」
 笑みが零れて頬にキスすると、夏目はむっとしたように顔をしかめた。
「うれしくないぞ、それ」
 そんな赤い顔で言われても、まったく迫力がない。
「かわいい」
「……ッ……んっ」
 再び反論される前にまた、唇を塞いでやる。
 夏目は一瞬抵抗する素振りを見せたが、しばらくすると田沼のシャツの裾をそっと掴んだ。上顎をくすぐり、小さな舌を絡めとってやると、ためらいがちにそっと応えてきた。
「はぁ、ぅんン、」
 ときおりもれる声に、上気した目元に、理性が吹き飛びそうになる。
 しかしここは往来で、薄暗いとはいえ人がまったく通らないとは限らない。
 未練たっぷりに唇を離すと、夏目がとろんとした瞳で田沼を見上げた。
 くそ、このまま押し倒してしまいたい!
「……無理だよな」
 溜息を零した田沼を見上げ、夏目は不思議そうに首を傾げた。
 ああ、可愛い。やはりここはこのまま――。
 田沼の理性が再び揺らぎ、夏目の肩を掴んだとき、
「なーつめー!」
 夏目を向かえに来たらしい、ニャンコ先生の声が響いたのだった。
 


 end...


 ◇


 090612 /091212 

 なんで書いたんだっけ……?←
 田沼をじりじりさせるのが趣味みたいだw

拍手[4回]

PR
COMMENT FORM
NAME
TITLE
COLOR
MAIL
URL
PASS
COMMENT
TRACKBACK
この記事にトラックバックする:
ヒトリヨガリのいじわる HOME ゆめみがちジェラシー(下)